コラム
2025/08/05
フォトグラメトリとは?3Dスキャナーと併用して実現する実写以上のリアルなCG制作の魅力
近年、映像業界やゲーム業界で注目されている3Dスキャン技術が「フォトグラメトリ」と「3Dスキャナー」です。
フォトグラメトリは複数の写真から立体的な3Dモデルを生成する手法であり、3Dスキャナー(レーザースキャンを含む)は現実のモノや空間の形を、コンピュータで扱える3次元のデジタルデータ(3Dモデル)に変換する技術です。
これらを組み合わせることで、従来の手作業に頼っていたCG制作に革新をもたらしています。
この記事では、CG制作会社「森三平」が実際に導入しているフォトグラメトリと3Dスキャナーを併用したCG制作のメリットと可能性を、具体的な活用事例や工程とともに解説します。
フォトグラメトリとは?
フォトグラメトリ(Photogrammetry)とは、写真測量とも呼ばれる技術で、複数の写真から被写体の立体構造を解析・再現する方法です。近年では、建築測量や文化財保存、考古学だけでなく、映像制作やゲーム開発などのクリエイティブ分野でも広く活用されるようになりました。
特にCG制作の分野では、フォトグラメトリの活用により、手作業では実現が難しかった「リアリティ」と「スピード」の両立が可能になります。
3Dスキャナーとは?
3Dスキャナーは、レーザーや赤外線を対象物に照射し、その反射をもとに形状を立体的にデータ化する装置です。簡単に言うと、レーザーで物体の形をスキャンして、パソコン上で3Dモデルを作るための「点」の集まり(点群データ)として取り込む方法です。
特にレーザースキャン方式は、地形や建築物などの複雑な構造を高精度に再現するのに適しており、フォトグラメトリでカバーしきれない部分の補完にも役立ちます。
実写のようなリアルなCG表現が可能に
従来のCG制作では、すべての形状をモデラーが手動でモデリングし、質感(テクスチャ)も一から作り込む必要がありました。
しかし、フォトグラメトリを使えば、建物や風景をカメラで撮影するだけで、そのままリアルな3Dモデルとして再構築できます。
その結果、次のようなメリットが得られます:
- 実在の質感に極めて近い仕上がりが得られる
- ライティングや材質の再現性が高い
- 人手によるミスや主観的なズレが生まれにくい
たとえば、古い寺院の石垣や壁面の経年変化、苔の生え具合といった“人の手では再現が難しい自然なディテール”も忠実に取り込むことができます。
今後注力していく3Dスキャンと空撮活用の展望
森三平では現在、屋内や近距離での3Dスキャンを中心にCG制作を行っていますが、今後はドローンを用いた大規模スキャン撮影にも取り組んでいく計画です。
特に、広大な自然環境や建築物など、従来はフォトグラメトリだけでは取得が難しかった対象に対し、空撮とスキャナーを組み合わせることで、より精度の高いデジタル化が可能になると考えています。
技術的な検証や運用体制の整備を進めながら、撮影からモデル化、合成映像制作までを一気通貫で対応できる領域の拡大を目指しています。
実写を超えるCGとは?
フォトグラメトリで作られた背景は、単なる“模倣”にとどまりません。デジタルデータであるからこそ、現実には存在しない光源・時間・天候の設定が自由にできるため、「実写よりも自由度の高いリアリティ」を表現できます。
例:
- 昼と夜を瞬時に切り替えた演出
- 雪原にCGキャラクターを配置したファンタジー合成
- 実在しない視点からのカメラワーク
このように、リアルさだけでなく、演出としての“魅せ方”にも大きな武器となるのがフォトグラメトリです。
森三平ならではの差別化ポイント
- テレビ業界で鍛えられた短納期対応力
- CG制作20年超のチームによる“表現力”の高さ
- グリーンバック常設スタジオでのリアルタイム撮影対応
- 撮影から仕上げまでをすべて内製で完結可能
単なる技術の導入だけではなく、背景素材としての“魅せ方”や“運用力”があるからこそ、他社にはない完成度の高い合成映像を生み出すことができます。
フォトグラメトリ×3Dスキャナーの活用事例
- 実写合成用の人物の顔や靴など正確性が必要なものやモデリングに時間がかかるものの作成
- テレビ番組のスタジオセット代替(例:バラエティ番組の仮想セット)
- 歴史ある文化財のデジタル再現
- ゲームの背景素材としての活用
- バーチャルイベントや配信での演出背景
制作したCGは、動画用途だけでなく、静止画素材や3Dアセットとしても活用可能です。
まとめ:実写以上のCGを、より早く・より自由に
フォトグラメトリは、CG制作における“スピードとリアル”を両立する最前線の技術です。
森三平では、撮影からCG制作、合成映像の収録までをすべて自社内で一気通貫できるため、コスト面・納期面でも高いメリットを提供可能です。
「撮影地が遠すぎる」「文化財で撮影できない」「もっと見映えのある映像がほしい」といった課題を感じている方は、ぜひ一度フォトグラメトリ×3Dスキャナー制作の導入をご検討ください。