コラム
2025/10/28
高品質な映像制作を支えるトラッキング技術とモーションキャプチャーシステム
映像制作において「合成の違和感が気になる」「背景がうまくついてこない」といった課題は少なくありません。
その原因の多くは、カメラの動きや演者の位置を正確に計測できていないことにあります。そこで重要になるのが「トラッキング技術」です。
トラッキングは合成映像の品質を大きく左右する基盤であり、どんなに高精細なCG背景を用意しても、ここが不十分だと全体のクオリティが崩れてしまいます。
この記事では、映像制作会社やディレクターの方に向けて、トラッキング技術の基礎と品質を高めるためのポイント、そして森三平スタジオが導入している最新のシステムをご紹介します。
1. トラッキング技術の基礎
カメラトラッキングとは?
カメラトラッキングとは、実際のカメラの位置や動きをリアルタイムで計測し、その情報をCG空間に反映させる技術です。これにより、カメラをパン・チルト・ドリーしても、CG背景がずれることなく自然に合成されます。
モーションキャプチャーシステムの流用
森三平スタジオで導入しているEZTrackは、モーションキャプチャー用カメラ(OptiTrack)を流用して構築されたカメラトラッキングシステムです。
既存のモーションキャプチャー環境を活かすことで、高精度かつ安定したトラッキングを実現しています。
なお、モーションキャプチャーとカメラトラッキングは本来は別の技術であり、用途や仕組みも異なります。
2. 品質を左右するトラッキングの重要性
精度不足がもたらす“違和感”
トラッキングの精度が低いと、演者と背景の輪郭が合わず「浮いている」ように見えてしまいます。また、カメラを大きく動かした際に背景が遅れてついてくる現象も発生し、映像全体の没入感が損なわれます。
リアルタイム合成での効果
高精度なトラッキング技術を導入すると、撮影時点で合成結果をリアルタイムで確認できます。これにより「撮影後にズレが見つかって修正が必要」という手戻りを防ぎ、制作効率を大幅に向上させることができます。
3. 活用される制作現場
- テレビ番組・報道スタジオ
ニュースや情報番組のCG背景では、カメラを動かしながらも安定した背景合成が求められます。 - 映画・ドラマ・CM
ダイナミックなカメラワークを伴うシーンで特に効果を発揮し、VFXやバーチャルプロダクションで必須の技術です。 - イベント配信・ライブ演出
ライブやオンラインイベントでのリアルタイム演出に活用され、臨場感のある映像を支えています。
4. 森三平スタジオのカメラトラッキングとモーションキャプチャーシステム
森三平スタジオでは、映像制作に求められるリアルタイム性と高精度な動作解析を実現するため、複数のシステムを組み合わせた環境を整えています。
以下の構成により、テレビ番組からVTuber配信まで幅広いニーズに対応しています。
EZTrackによる高精度カメラトラッキング
弊社のトラッキングシステムは「EZTrack」。光学式モーションキャプチャーシステム「OptiTrack」をベースに構築しており、ズレのない自然なカメラワークを実現します。カメラの動きをリアルタイムで3D空間に反映し、実写とCG背景の正確な同期を可能にします。
OptiTrackによるリアルタイムモーションキャプチャー
OptiTrackは、人物や物体の動きをリアルタイムで高精度にトラッキングできるモーションキャプチャーシステムです。複数カメラによる位置情報の解析により、キャラクターの自然な動作やカメラトラッキングとの連動を実現しています。
Live Link Faceによる表情キャプチャー
iPhoneを活用し、演者の表情をリアルタイムでキャラクターに反映。配信や収録で自然な表情表現が可能です。
MANUSグローブによる高精細なハンドキャプチャー
指先や手の動きまで精密に再現できるため、細かな演技やリアルタイム演出に活かせます。
これらのシステムを組み合わせることで、リアルタイム合成やライブ配信に必要なワークフローをすべてカバーできる制作環境を構築しています。
まとめ:高品質な映像の要は「トラッキング+リアルタイム性」
高品質な映像を実現するには、CGや演出以上にカメラトラッキングの精度が重要です。
森三平スタジオでは、OptiTrackをベースにしたEZTrackシステムを活用し、実写とCG背景を正確に同期させる高精度なトラッキング環境を構築しています。
リアルタイム合成からライブ配信までを一貫してサポートし、撮影現場の効率化と映像品質の両立を実現しています。
「映像のクオリティを一段引き上げたい」とお考えの制作会社・ディレクターの方は、ぜひ一度ご相談ください。